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東京高等裁判所 平成11年(行ケ)17号 判決 2000年11月07日

原告

原告

原告両名訴訟代理人弁理士

被告

有限会社豊産業

代表者代表取締役

被告

横山産興株式会社

代表者代表取締役

被告両名訴訟代理人弁理士

主文

特許庁が平成10年審判第35127号事件について平成10年12月15日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告らの負担とする。

事実

第1請求

主文同旨

第2前提となる事実(争いのない事実)

1  特許庁における手続の経緯

(1)  原告らは、名称を「採肉養鶏用飼料添加物」(後記訂正前の名称「養鶏用飼料添加物」)とする特許第1773618号の発明(平成1年12月25日特許出願、平成5年7月14日設定登録、以下「本件発明」といい、本件発明に係る特許を「本件特許」という。)の特許権者である。

被告らは、平成10年3月31日、本件特許につき特許無効の審判の請求をし、同請求は平成10年審判第35127号事件として特許庁に係属したところ、特許庁は、平成10年12月15日、「特許第1773618号発明の明細書の請求項第1項ないし第4項に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。別紙1審決書の理由写し参照)をし、その謄本は、同月24日、原告らに送達された。

(2)  原告らは、平成11年10月7日、特許出願の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の減縮等を目的として訂正する訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を平成11年審判第39079号事件として審理した上、平成12年8月8日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。別紙2審決書写し参照)をし、その謄本は、同月28日、原告らに送達され、本件訂正審決は確定した。

2  本件明細書の特許請求の範囲の記載

(1)  本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲の記載

(請求項1)

養鶏の飼料に混合するものを杜仲の葉としたことを特徴とする養鶏用飼料添加物。

(請求項2)

養鶏の飼料に混合するものが前記杜仲の葉を加熱して乾燥させたものとしたことを特徴とする請求項1記載の養鶏用飼料添加物。

(請求項3)

前記杜仲の葉を加熱して乾燥させたものが粉末であることを特徴とする請求項2記載の養鶏用飼料添加物。

(請求項4)

養鶏の飼料に混合するものが前記杜仲の葉を煮て抽出したエキスとしたことを特徴とする請求項1記載の養鶏用飼料添加物。

(2)  本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲の記載(「」内が訂正された箇所である。)

(請求項1)

「孵化後60日以内の採肉鶏」の飼料に混合するものを杜仲の葉としたことを特徴とする「採肉」養鶏用飼料添加物。

(請求項2)

「孵化後60日以内の採肉鶏」の飼料に混合するものが前記杜仲の葉を加熱して乾燥させたものとしたことを特徴とする請求項1記載の「採肉」養鶏用飼料添加物。

(請求項3)

前記杜仲の葉を加熱して乾燥させたものが粉末であることを特徴とする請求項2記載の「採肉」養鶏用飼料添加物。

(請求項4)

「孵化後60日以内の採肉鶏」の飼料に混合するものが前記杜仲の葉を煮て抽出したエキスとしたことを特徴とする請求項1記載の「採肉」養鶏用飼料添加物。

3  本件審決の理由の要旨

別紙1審決書の理由写しのとおり、本件審決は、本件発明の要旨を訂正前の特許請求の範囲に記載のとおりと認定した上で、本件発明は、本件審決に引用された刊行物(1989年4月18日付け東京新聞(夕刊)7頁。審判甲第2号証)に記載された発明及び周知技術(訂正前の請求項2ないし4につき)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと判断し、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるとして、本件特許を無効とした。

第3当事者の主張の要点

1  原告ら

本件訂正審決による訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許を無効とした本件審決の取消しを目的とする本件訴訟の係属中に、本件特許について特許請求の範囲の減縮を目的とする本件訂正審決が確定した。

そこで、本件審決が本件発明の要旨を訂正前の特許請求の範囲に記載のとおりと認定したことは誤りに帰し、この瑕疵は違法であるから、本件審決は取り消されなければならない。

2  被告ら

原告ら主張のとおり、本件特許について特許請求の範囲の訂正を認める本件訂正審決が確定したことは認める。

理由

1  本件訂正審決の確定により本件特許について特許請求の範囲が前記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって本件特許について特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。

そうすると、本件審決が本件発明の要旨を訂正前の特許請求の範囲に記載のとおりと認定したことは、結果的に誤りがあることになり、この誤りは本件審決の結論に影響を及ぼすものとして違法であるから、本件審決は取消しを免れない。

2  よって、原告らの請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 裁判官 橋本英史)

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